『サーチファンド』 事業投資ファンドの一形態

先日、このセミナーにて講演させていただきました。

https://profile.dreamgate.gr.jp/consul/pro/estvision/seminar_view/seminar_detail/23938

 セミナータイトルにあるように事業投資ファンドにサーチファンドという形態があります。

簡単に申し上げますとサーチファンドとは、『M&A起業』をする人が出資を受ける仕組みです。『M&A起業』とは通常の起業ではなく、すでに稼働している会社を譲り受けて事業を進めるというものです。買収起業という言われ方もします。

 つまり、独立したい人の気概が旺盛で、M&Aできそうな事業があり、サーチファンドがその人とその事業の発展について面白いと思えば、M&A資金を出してくれるというものです。もちろんM&A後の経営を任せてもらう前提です。

さらにサーチファンドがユニークなのは、まだM&A対象の事業がないサーチの段階からお付き合いしてくれるところです。M&Aしたい事業が出てくるまでの間(長くて二年程度らしいです)の給与を払ってくれます。したがって、独立したい人は案件サーチに没頭できます。

セミナーでは、サーチファンドの第一人者である株式会社サーチファンドジャパンの代表である伊藤氏からサーチファンドのプロセスと現在進行中の事例のご説明がありました。

通常の起業と比べてサーチファンドの特徴は、次のようなものです。

・すでに稼働している既存事業を譲り受けるので、通常の起業よりキャッシュフローが読みやすい。

・ゼロからなんでも立ち上げるというスタートアップ型起業の煩雑さがない。

・サーチファンドがM&Aの企業を探す際に活動資金を提供してくれる。

・サーチファンドが一緒に候補先企業を探したり、M&Aの意思決定を手伝ってくれる。

・起業後の経営において、経営者が弱い部分を補完してくれる(ただし一定レベルの経営力やマネジメント力は持っていることが求められる)。

これまで同社のサーチファンドへの応募者が約300名、一緒に企業を探しましょうとなったのが約10名、『M&A起業』が果たせた人が現時点で1名と狭き門ではあります。

 しかし、どうしても独立したくてやりたいことが明確にある方は、応募してみてはいかがでしょうか。

https://searchfundjapan.peatix.com/view

 だめだった場合(笑)の善後策については、おいおい書いていきたいと思います。

 ちなみに本セミナーのモデレーターである池田氏は、ドリームゲートという起業、独立を支援する組織でアドバイザーをされており、お店や商品、ブランドや会社自体の『熱狂的ファン』を作るということをテーマに活動されている変わったコンサルタントです。

以上

業務管理の効率を上げることだけで企業の価値はあがるものなのか

前回のブログで、地方企業で儲けるためには、①マーケットをしっかりつかめる商品があり、②事業運営/業務管理を効率化していく必要がある、と述べました。

「業務管理の効率化」とは具体的にどのようなことをするのかというご質問をいただきました。本日はそのことについて四つ書いてみたいと思います。

  まず一つ目として、「経営者が経営方針を作成して社内でシェアしていること」があげられます。3年の中期経営計画を作成し、さらにそこから今年1年で何をしていくらの利益を上げるのか、という目論見を社内でシェアすることです。

最近は、環境がめまぐるしく変わるので、3年先の計画など意味はなさない、とおっしゃる方は多いです。でもそれは、やらない人の言い訳に聞こえます。面倒だからではないでしょうか。環境が変われば、最初の設定を見直せばいいだけです。PDCAを速く回すようなものです。事業経営というのは、ある仮説に基づいて実行し、間違えていればどうにかして修正すればいいのです。作成当初の段階では、精度よりどちらに向かうかという方向性を共有することがとても大事です。数値内容がどうでもよいとは言いませんが、まず数値を伴う方針が有ることが重要なのです。

次に二つ目としては、その経営計画に基づいて事業推進するので、「作成した予算に対して実績がどうだったかを都度検証すること」が必要になります。PDCAのCですね。軌道修正を迅速に行うためにも、仮説と実績の比較チェックが大事です。必ず経営陣はしっかり時間を取って、このミーティングを毎月実施する必要があります。

三つ目として、その予算と実績を比較する際に「事業毎に損益を把握できるようにしておくこと」ということです。そのために毎月事業部門毎の損益を作成しましょう。当社は一商品しか扱っていないので、部門管理をしても煩雑なだけである、という主張もあります。しかし、そんなことはありません。一つの事業であっても、事業部門と共通(あるいは管理)部門の最低2つの部門からなります。

経営者の報酬は、その事業に適した金額になっていますでしょうか。高額報酬を取るのは構いませんが、特定の事業に貢献した経営者報酬と会社全体のマネジメントにかかる経営者報酬は、分けて考えるべきです。また、経理、人事などの管理コストも特定事業の損益からはずしたほうがよいです。事業の損益の実態をつかみにいきましょう。

四つ目としては、「過去と未来の資金の管理を継続して行うこと」です。これも以前、ブログで書いたと思いますが資金の管理はとても大事です。今いくら資金があるのか、どのように資金が回っているのか、経営方針を実行するとどのような資金状況になるのか、ということを作成しておく必要があります。こちらも毎月、作成してミーティングで活用します。

業務の効率化を主に数値管理の側面から書きました。これらの方法論を持ち込めば、会社の方向性が明確になり、資金手当て、人の手当ても明確になっていきます。数字を認識しながら経営することによって、「経営者の打ち手」の精度もあがり、結果として企業の価値はあがります。これだけで企業の価値が上がっていくのを何社も見ています。

会社内に上記のような経理機能がない場合、2,3については、顧問の税理士であれば精通していますので聞いてみてください。税理士は、1はあまり得意でないですし、そもそも経営者がこれを考えるところです。1をやりながら2,3について支援してもらうのがいいでしょう。

地方企業が元気になる方法

日本の人口が毎年約50-60万人ずつ、減少しています。
鳥取県の人口が約56万人だそうですから、今後も毎年このくらいの規模で減少していくでしょう。減少するにつれて、より都市部への人の移動が予想されますから地方でビジネスをしていく上では、益々厳しい環境になっていきます。

ところで、私は、地方企業の事業再生に積極的にかかわるようにしています。地方企業の再生支援や地方企業の譲渡候補があれば、譲受することを前向きに検討します。
上述したように中長期でみれば、人口減少社会は、ますます都心部への流れを加速しますから、地方のマーケットは縮んでいくと考えられます。
しかしながら、それは徐々にであり、現時点ではそこまで中長期で考えなくてもよい地域も存在します。内閣府が「県民経済検査」という統計を発表しています。これによれば県内総生産が増加している地域も散見されます。

https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kenmin/files/contents/main_h28.html

地方であっても、一定レベルの経済圏を構成している地域でナンバー1(かナンバー2)を取れる事業をみつければ成長の可能性はあるということが推定されます(都市と隣接する地域が狙いどころかもしれません)。

また、地方には非効率的な事業運営をしているところがあり、それが改善できるかどうかを考えてみます。ブランド構築、営業支援など外部機能の積極活用、人事、経理、資金繰りの効率的な方法、早期の資金回収の手法などを投入できるかを見ていきます。都市経済圏では、このような機能を提供する会社が多いのですが、地方では簡単にそのような提供会社を見つけられない地域もあり、従来の方法で事業をしています。このような企業では、外部機能を導入すれば利益の上昇余地はあります。
(業務の効率化を推進することは利益向上の観点からは好ましいのですが、これは機械的に進めればいいというわけではありません。多くはその効果が人的リソースの削減としてあらわれるからです。特に地方では人事的なつながりの濃いケースも多いでしょうから、ある程度雇用を維持しながら会社の運用効率を上げるというバランスが経営者に求められます。)

つまり、①マーケットをしっかりつかめる商品があり、②事業運営/業務管理を効率化していくことで、しっかりやれば、十分地方のマーケットでも成功できるのです。

ところで前述したように地方には、機能提供会社が少ないということもありますがそれだけでなく、特に中小企業にとって支払う報酬が高額になるという問題もあります。
私は、その溝を埋めてくれる可能性が高いのが地域金融機関と税理士だと思います。彼らは、情報の取り方も知っているし、やろうと思えば調整機能を果たすことができます。また、基本的には優秀な方たちなので、一旦手法を覚えれば、活躍されるでしょう。
特に地域金融機関は、その地域内だけで何とかしようとするのではなく、地域外と積極的に連携させることで、企業への有効なお手伝いができると思います。

資金繰り表作成の威力

貴社の経理は、誰が見ていますか。経理責任者に任せていますか。顧問税理士でしょうか。

今日は、これを習得しておけば、社長として十分自信が持てる数値の把握方法をお伝えします。

現在、どのくらい儲かっているのか、どのような財政状態であるか、などを数値として把握しておくことは、経営していくうえで、とても大事です。

実務上は、経理部長か顧問税理士が作成した財務諸表を確認するのが普通でしょう。事業を興しても社長自ら経理まで自身で行うというのは、稀ですね。当然、簿記会計を勉強してこなければ、自ら数値を作成することはできないので、出来上がった数値を眺めるということになります。

世の中には、経営者のための決算書の見方のような本があります。そういうものを眺めながら、自社の数値とにらめっこすることになるのですが、それでわかるようになるのか疑問です。読んでピンとくる方なら、それを活用されればよいと思いますが。

私は、協働という考え方を事業に持ち込んでいるので、経営者は、事業推進に注力し、不得意なことは得意な方にお任せしてしまいましょうというのが基本姿勢です。

ただし、自社の数値の把握は、例外です。とても大事ですのでお任せしてはいけません。

しかしだからといって、今さら、簿記の勉強を始める時間も気力もないですね。

そこで、そういう経営者にこれだけやれば、十分な方法をお伝えします。

それは、自分で、資金繰り表を作成することです。

作成詳細方法は、今日は割愛しますが、預金通帳の入金出金をカテゴリー別(販売、仕入、人件費、固定費など)に分けて、記載していくだけです。エクセルを使ってもいいので、ぽちぽちインプットしていく方法です。

大事なことは、決してデータをダウンロードして、マクロなど組むような効率いい手法を使わないということです。取引内容を確認しながら、マニュアルでインプットし、会社のお金の流れを手に覚えさせるのがポイントです。

また、最低1年は、やってみてください。1年で一通りのシーズン毎の変化も理解できるようになります。

このすごさは、やった人しかわかりません。私は、やった人を何人も存じ上げているので、そのビフォーアフターの格差に驚くことが多いです。

これができるようになると、まず、会社のお金の流れが自然に頭の中で動くようになります。当たり前のように事業と資金を両輪で考えることができるようになります。

また、経理部長と数字について、議論ができるようになります。経理部長にお任せではなくなります。銀行など資金について、第三者と話すときも自信をもって話すことができます。

さらに最大のメリットとして、資金繰り予測思考ができるようになるということです。こういう手立てを打つと、次の四半期の資金はこうなるだろう、などと予測が自然に身に着くようになります。中小企業経営者にとって、読みができるということは、圧倒的に事業経営にプラスに働く、武器となります。

コンサルタントでもこれだけで仕事にしている人がいるくらいですから、いかに強力な武器かおわかりになると思います。

是非、習得してみてください。

第三者承継の状況

事業承継とは、会社の経営を後継者に引き継ぐことをいいます。 中小企業にとって、オーナー経営者の経営手腕が会社の強みや存立基盤そのものになっていることが多く、「誰」を後継者にして事業を引き継ぐのかは重要な経営課題です。

誰に事業を引継ぐのかにはついては、大きく3通りの方法があります。

親族に承継する

(親族外の)従業員等に承継する

上記以外の第三者に承継する

この第三者に承継することを通常、M&Aと言います。

では、どの位の件数の第三者承継が行われているのでしょうか。

各県に事業承継を促進する「事業引継ぎ支援センター」と呼ばれる国の機関があり、後継者不在の中小企業の事業承継を支援する目的で設置されています。
ここでの相談件数と実施件数を見てみましょう。

平成30年度の事業引継ぎ支援センターへの相談件数は7,768件、そのうち事業承継に至った件数は545件でした。成約率7%ですね。思ったより多くはない印象です。

もちろん、事業引継ぎ支援センターを利用しない事業承継もあるでしょうから、これ以外にも成約した数は、あります。

次に、会社がどれだけ毎年廃業されているか見てみたいと思います。つまり、引継ぎが可能であるけれども、されなかったであろう推定数を見ることにしましょう。

こちらは東京商工リサーチにそのデータがありました。

こちらを見てみるとおおよそ毎年4万社が廃業されていて、そのうち倒産によるものがおおよそ8千社程度と読み取れます。つまり、会社の調子が悪くないのに廃業せざるを得なかったのが年間3.2万社程度です。ものすごい数ですね。

その理由も東京商工リサーチのデータにありました。

廃業した代表者の年齢推移をみると、60代から70代で約70%を占めています。代表者が引退する際に、承継されなったために起きた廃業数です。

とても大雑把に申し上げれば健全な会社が高齢で身内や近しい人に引き継がれないため、毎年、3.2万社が消滅していることになります。

このような状況が起きるには、二つ考えられます。

一つ目は、自分の会社を売却できるという認識自体が高齢の経営者に少ない、ということです。

二つ目は、承継の情報は多くがネット上で流通していますが、高齢の経営者ほどそうしたメディアとの親和性が低い、ということです。

私の実体験で申し上げれば、50代の経営者ですと事業承継という方法があることを認識していらっしゃる方は増えてきていますが、70代ですとそのような情報があまり入らない環境にいらっしゃると思います。

したがって、事業承継の機会を承継する側からあげていくには、経営者のそばにいる金融機関あるいは顧問税理士によるサポートが極めて大事になってきます。

ところで、私の仕事の目的の一つに「残すにふさわしい事業を発掘、再生、成長軌道に乗せる」というものがあります。

全ての事業が残すにふさわしいのではないとは思いますが、いいものを未発見のまま埋もれさせたくないですね。

では、譲り受ける側がこれら事業を発掘するには、どのようにすればいいのだろうか、という課題が出てきます。

それについては、別の機会に書きたいと思います。今日は、こんなに引き継がれないのかということをご理解いただければと思います。

統計をみていたら、こんなものも見つけました。

総務省の統計によれば、15歳から64歳の生産年齢人口は2017年の7,596万人が2040年には5,978万人と減少することが推計されています。

これは、平均すると毎年70万人程度の人口減です。

毎年、高知県の人口と同程度の生産年齢人口が減っています。

これだけ人口が減少すると、承継してもどうやって再生、成長へ持ち込むことができるのだろう、また、潜在顧客数も減少していくという日本全体が抱えている構造的な問題もあります。こちらについても、承継後にどのように新しく事業を組み立てていけばいいのかという課題になりますね。

仕事ができる人と性格がいい人

仕事ができる人と性格がいい人どちらが大事なのか。

経営者にとっては、人事は、いつも悩むところですよね。通常の人事評価時ももちろんそうですが、コロナ禍で何人かお引き取りいただかなくてはいけないときなど、最終的にどのように判断したらいいのだろうか、ということを、私もよく聞かれます。

そこで、「仕事ができる」と「性格がいい」という判断軸で考えてみましょう。もちろんそんなに簡単に決められるか!という声が聞こえてきそうですが、案外、究極はこの二つの選択肢の間のどこかに回答がありそうです(会社のご判断として、仕事ができるとは何か、どんなキャラクターが自社にとって好ましいかなどという基準は、あらかじめ決めておかれたほうが良いかと思います)。

さて、この二つ判断軸をマトリックスにすると、

1.仕事ができて性格もいい

2.仕事はできるが性格はよくない

3.仕事はできないが性格はいい

4.仕事もできなく性格もよくない

という四象限に分けられます。もちろん両者をゼロイチではなく、それぞれ何パーセントくらいあるかなどを考慮してもよいです。

1は、まったく迷わないですよね。逆にこのような人にいてもらうために会社は、何を支援すればいいか、真剣に考えるところですね。

縁故入社などがある特別な事情を除けば、4も迷わないはず。

悩ましいのは、2と3でどちらを優先するべきなのかという場合ではないでしょうか。

会社は、それ相応の機能を提供してもらう場なのだから、結果を出してもらうほうが大事であり、したがって、2を選択します、というのが普通の反応です。いくら性格がよくても利益に貢献してもらわないと意味がないわけで、確かに儲けていただける人にいてもらいたいですよね。

一方で、あまり仕事はできないけどあの人がいると、雰囲気がいいよね、という場合があります。中長期で物事を見れば、3を選択する経営者もいらっしゃるでしょう。

ここからは私見ですが、特に中小企業では、あまり大きな失敗が許されないものです。一つの大きな問題が起きただけでも立ち直れなかったり、後を引いたりする可能性が高いのが中小企業です。

したがって、少しでもマイナス要素の芽が出てきたら、早めにそれを摘むように運営されるべきと思います。

その前提でどちらかを選ぶかについては、次のように考えます。

性格がいいというのは、会社に即効性のあるプラス要素はあまりもたらしてくれないけど、ゼロより下にはならないのですよね。最悪でもゼロ貢献ととらえられます。

一方で性格がよくないと、マイナスのことをする可能性を秘めているのです。悪意があるかないかは別としても、不作為も含めて、なにがしか会社にマイナスの状況を起こしうる可能性が性格のいい人より高いものなのです。マイナス貢献が有りうる。

したがって、常にマイナス要素を少なくして運営していくという観点に立てば、3を選ぶことになります。

実務上は、様々な要素を利益衡量して、決めていくのでしょう。しかし、この判断軸が組織に及ぼす影響は、とても高いものと思います。

思い切って考えないと進まない場合は、上記を参考にしてください。

フランチャイズ事業で経営を始める

最近は、中小企業のM&Aが盛んに喧伝されるようになりました。

M&A仲介会社も細かくサポートするようになってきましたし、このような本も出ています。

これまでサラリーマン時代に培ったノウハウを活用して、同種の企業を取得し、事業を開始するのは、当方もお勧めするところです。

ところが、M&A仲介会社から聞いたのですが、おおよそ交渉も終わりに近づき、懸念材料がほぼないにもかかわらず、買い手が下りてしまうケースが散見されるということです。実際に会社を所有して経営していくということに直面すると不安が勝ってしまい、自信がなくなるようです。

会社を所有すればサラリーマン時代にやっていた業務だけではなく、これまでやってこなかった業務も含めて、経営全般を見なければいけません。特に独立して初めて経験する業務として、経理、税務、銀行対応などがありますが、不案内なことも最初からしっかりやらなければいけません。このようにやるべきことが多いことがプレッシャーに繋がります(私も以前は、同様の経験をしました。いろいろなことを従業員から、質問されるのですがすぐ答えられないことも多かったです。また、誰に何を聞いていいかもわからない状態になることもあり、そのまましばらく問題を抱えていたことも多くありました)。

そこで、サラリーマンは、嫌だけど、独立は、ちょっとまだ重い、かといって、副業などでコツコツやるのが向いていない方には、フランチャイズビジネスを始めてみることをお勧めしています。半分独立みたいなものですね。

フランチャイズビジネスとは、「本部」と呼ばれるフランチャイザーと「加盟店」が契約を結び、加盟金(ロイヤリティ)を支払うことで、本部の商品やサービスを販売する権利をもらい、また本部にサポートしてもらいながら、事業を運営していく仕組です。

フランチャイズの仕組は、飲食業や小売業、またサービス業などに多く見られます。業種や形態は様々ですが、自分だけで経営するのと大きく違うのは、本部のサポートを受けられるところです。

様々な業種や形態があるので、よく調べる必要はありますが、本部は、大きく次のようなことをサポートしてくれます。

-開業資金の融資、資金面のサポート、銀行応対サポート

-開業までの細かなサポート

-接客や販売の指導

-経営の指導

-研修の実施

-定期的な業務内容のレベルチェック

-本部がマーケティングや広告宣伝をしてくれる

-店舗のあるような事業であれば適切な立地選び

加盟店になると本部にロイヤルティを支払わなければならないのですが、それでも本部からは、結構な内容のサポートが受けられると思います。経営することは、わくわくすると同時に不安も同居しますから、精神的/物理的な負担を少し減らして、船出するという方法もありではないでしょうか。

もちろん、加盟店になっても、本部の会社とは別ですから、一国一城の主になることに変わりはありません。先程、申し上げた経理/財務などをそれなりに理解しなければならないことに変わりはありません。ただ、繰り返しますが、一人で何でもやることを思えば、この半分独立した(少しリスクを下げた)状態で、経営及び事業の経験を積むことができます。

ある程度、自信がついた段階で、(半分じゃない)独立を選択することができます。また、このままフランチャイズビジネスを継続する、あるいはフランチャイズの種類を増やしていく展開もできます(したがって、フランチャイズ契約で、いつ契約が終了するのか、契約終了後もその事業は続けられるのか、などをきちんと事前に確認しておくことがとても大事です)。

なかなか先行きが見えないコロナ禍で、独立を希望していても、思い切った戦略が打てないなら、この半独立というステップを踏むという方法は、リスクを軽減しつつも少し前進という点で有効と思います。

オーナー経営者の報酬の決め方

オーナー経営者の報酬は、どのように決めるべきなのでしょうか。

それは、オーナーと経営者の立場を分け、三つの視点で経営者報酬を決定すればよいのです。

まずは、オーナー経営者とは、どういう立場かを簡単に説明します。

オーナー経営者とは、株式のほとんどを持っていて、その株主が経営の実権を取るような場合です。

建付け上は、オーナー(株主)というのは、実際の経営が得意でない、あるいは面倒なので、どこからか経営のうまい人を連れてきて、その人に会社の経営をお願いします。

オーナー経営者とは、それを他人に委託しないで自分でやろうということです。

このうち、日々の会社のよしなしごとにタッチしているのは、オーナーでなく、経営者の立場です。

次にオーナー経営者が会社から得る報酬の順序を損益計算書をベースに考えてみます。

経営者の立場は、役員報酬という名目で会社から金員を受領します。損益計算書上では、従業員がもらう給与と同じ順序で受領しています。

そこから各費用が引かれ、営業利益になります。営業利益の下に利息費用があります。銀行は、この位置で利益の恩恵にあずかれるということです。

その次に税金です。順序で言えば、日本国家は、控えめな位置にいますね。

さらにその下に納税後に残余資金があればそれを株主配当として、オーナーが受領できる権利があります。オーナーのご褒美というのは、最後の最後ですね。

このようにオーナーには、あらかじめ決められた報酬はなく、会社の最後に利益の恩恵にあずかれるだけです。とても儲けている会社であれば、株主配当金がすごいことになりますが、たいていの中小企業は、そんなに残っていないのではないかと思います。

以上のようにオーナーと経営者は、その金員の受領方法が違いますが、実際にこんなことを考えて金額を計算しているオーナー経営者はあまりいなく、全ての権限をもっているので、欲しい金額だけ、経営者報酬を受領することができます。

それでは、オーナーの権利を切り離して、経営者の報酬をどのような考え方に基づいて決めればよいのでしょうか。それは、次の三つの視点で構成すればよいのです。

会社の目的、目標があって、それに近づく経営ができたか

業績に連動するような形で報酬が決められているか

組織の長として機能したか

他にも手法はあると思いますが、経営者報酬を上記の視点で算定すれば、ステークホルダーからも公平感、納得感が得られるのではないでしょうか。この三つを抑えておけば、途中で何度も金額を変更する必要もなくなります。

ちょっと意地悪な言いようですが、「もし自分が(オーナーではない)雇われ経営者で、転職活動するとしたら、この報酬額で雇ってもらえるところはあるだろうか。」と考えてみるのはいかがでしょうか。

今の報酬額で雇ってくれなそうであれば、減額してもよいかもしれません。

余計なお世話と言われそうですが。。。