業務管理の効率を上げることだけで企業の価値はあがるものなのか

前回のブログで、地方企業で儲けるためには、①マーケットをしっかりつかめる商品があり、②事業運営/業務管理を効率化していく必要がある、と述べました。

「業務管理の効率化」とは具体的にどのようなことをするのかというご質問をいただきました。本日はそのことについて四つ書いてみたいと思います。

  まず一つ目として、「経営者が経営方針を作成して社内でシェアしていること」があげられます。3年の中期経営計画を作成し、さらにそこから今年1年で何をしていくらの利益を上げるのか、という目論見を社内でシェアすることです。

最近は、環境がめまぐるしく変わるので、3年先の計画など意味はなさない、とおっしゃる方は多いです。でもそれは、やらない人の言い訳に聞こえます。面倒だからではないでしょうか。環境が変われば、最初の設定を見直せばいいだけです。PDCAを速く回すようなものです。事業経営というのは、ある仮説に基づいて実行し、間違えていればどうにかして修正すればいいのです。作成当初の段階では、精度よりどちらに向かうかという方向性を共有することがとても大事です。数値内容がどうでもよいとは言いませんが、まず数値を伴う方針が有ることが重要なのです。

次に二つ目としては、その経営計画に基づいて事業推進するので、「作成した予算に対して実績がどうだったかを都度検証すること」が必要になります。PDCAのCですね。軌道修正を迅速に行うためにも、仮説と実績の比較チェックが大事です。必ず経営陣はしっかり時間を取って、このミーティングを毎月実施する必要があります。

三つ目として、その予算と実績を比較する際に「事業毎に損益を把握できるようにしておくこと」ということです。そのために毎月事業部門毎の損益を作成しましょう。当社は一商品しか扱っていないので、部門管理をしても煩雑なだけである、という主張もあります。しかし、そんなことはありません。一つの事業であっても、事業部門と共通(あるいは管理)部門の最低2つの部門からなります。

経営者の報酬は、その事業に適した金額になっていますでしょうか。高額報酬を取るのは構いませんが、特定の事業に貢献した経営者報酬と会社全体のマネジメントにかかる経営者報酬は、分けて考えるべきです。また、経理、人事などの管理コストも特定事業の損益からはずしたほうがよいです。事業の損益の実態をつかみにいきましょう。

四つ目としては、「過去と未来の資金の管理を継続して行うこと」です。これも以前、ブログで書いたと思いますが資金の管理はとても大事です。今いくら資金があるのか、どのように資金が回っているのか、経営方針を実行するとどのような資金状況になるのか、ということを作成しておく必要があります。こちらも毎月、作成してミーティングで活用します。

業務の効率化を主に数値管理の側面から書きました。これらの方法論を持ち込めば、会社の方向性が明確になり、資金手当て、人の手当ても明確になっていきます。数字を認識しながら経営することによって、「経営者の打ち手」の精度もあがり、結果として企業の価値はあがります。これだけで企業の価値が上がっていくのを何社も見ています。

会社内に上記のような経理機能がない場合、2,3については、顧問の税理士であれば精通していますので聞いてみてください。税理士は、1はあまり得意でないですし、そもそも経営者がこれを考えるところです。1をやりながら2,3について支援してもらうのがいいでしょう。