M&Aの報酬の支払方法について

M&Aに取組む企業が増えてきました。今日は、基本的なM&Aの報酬の支払方法について説明します。

会社の売買が成立し、それをM&Aを扱う会社から紹介された場合には買い手も売り手も一定の報酬をその会社にお支払いします。支払方法は、大きく二つにタイプに分けられます。

アドバイスをもらいながら着手金や定額顧問料など一定金額を紹介会社に払い、M&Aが成立したら、成功報酬を払う「リテイナー型」と、もうひとつは完全成功報酬制といって、M&Aが成立した場合に一括で支払う「仲介型」があります。

一見すると完全成功報酬制の方がいいように思います。いろいろ動いてもらったけど、最終的に成立しなかった場合には、支払わなくていいからです(活動にかかった費用などは負担するのが通例ですが)。

しかし、成功するまで報酬を支払わなくていいということは、仲介会社は案件の不成立が続けば、いつか立ち行かなくなるということでもあります。仲介会社が案件を成立させようというのが存在価値や目標になっていることは構わないのです。が、お客様に対する満足度とどう折り合いをつけるのでしょうか。買い手の会社がなかなかいい案件に出会えず、何度もやり取りしているなかで、そろそろ成立させなきゃというような余計なプレッシャーを仲介会社に対して感じ始めたら、本末転倒です。

一方で、リテイナー型では、案件が成立しようがしまいが契約している間は、一定の報酬額を払います。会社は、ターゲットとなる企業の選定や調査、業界分析や競合分析などをお願いすることで、よりM&Aの成功確率をあげることができます。仲介型の会社では、このような分析サービスをしません。

調査や分析は、自社スタッフでやれればそれでよいですが、中小中堅企業ですとなかなかそのような機能を持ち合わせているスタッフはいません。まだM&Aに慣れてない会社の経営者が社内のスタッフに任命して、M&Aを行なおうとする会社もありますが、それは止めたほうがよいです。一般に事業法人では、業務を効率化しようとするので、逆に柔軟に活動することに慣れていません。日常業務ではないM&Aを慣れていない社内の人材で取り組もうとすると無理が出てきます。ここは、ひとつお金をしっかりかけて、外部の機能を活用しましょう。

こうしてみるとM&Aの進め方(または、もっと前の段階からそもそも自社にとってM&Aが有効な戦略かの判断)からアドバイスを受けたいというような方は、リテイナー型をお勧めします(既にM&Aを複数回経験されていて、ノウハウが自社内に蓄積している場合は、仲介型の会社を活用してもいいでしょう)。

ただし、M&Aアドバイザーの実務は、多岐にわたりますし、人によりかなりスキルセットにばらつきがある業界ですので、レベルの高いアドバイザーを見つけることが極めて重要になってきます。

また、仲介型には別の問題もあります。これについては、別途書きたいと思います。