再び、飲食業を中心に緊急事態宣言が出されました。
すでに昨年末、アルコールを提供する外食産業は、忘年会シーズンを我慢し、年明けて緊急時代宣言が1ヶ月とのこと。おそらくこれで息の根が止まる事業者は、増えると思います。飲食業に従事している私としても悲しいです。
ただ飲食業の不調は、コロナのせいないのかどうかを客観的に見ておく必要はあります。今日は、飲食業のこの悲惨な状況はコロナがなかったらなかったのだろうか、ということを考えてみます。
コロナ禍といわれる前、2019年に世の中の景色を見ていて思ったことがありました。
一つは、キッチンカーのビジネスが急激に増えたことです。屋台ビジネスです。大きく飲食店を構える前に少額のコストで販売してみるこの方法論は、ありです。
この手法に問題はないのですが一方で、出店コスト、家賃などのランニングコストあるいは集客のためのコストなどが高すぎて固定店舗が出店できないというのが現実なのです。計算が合わない。また労働力もかぎられていて、就労する人が集まらない状況も続いていました。
もう一つは、サブスクリプションビジネスが飲食事業でも見られ始めたことです。近年はおもに動画配信サービスや音楽配信サービスで知られ始め、「Apple Music」や「Netflix」などが有名ですね。サブスクリプションモデルはデータやソフトウェアを利用するといったデジタル領域で広まりましたが、最近は洋服や家具、車、サプリメントや食品など、非デジタル業界の製品にもサービスが増えてきました。
飲食業では、一定金額を支払えば一ヶ月間、コーヒーが好きなだけ飲める。あるいは、一定金額を払って複数回ランチが食べられるというものもありました。
でも、お客様がいらっしゃる店舗なら、この施策はとりません。お客様も必要ないのに、そんなに無理してコーヒーを飲みにいかないでしょう。サラリーマンで列を作っているランチ屋さんは、サブスクは取り入れる必要はないはずです。
これら二つの現象を見ていて、オーバーストア状態なのだな、人口に比して店舗数が多すぎるのだと思いました。以前にも書きましたが、毎年50万人程度の人口が減っている状態です。人口に対して飲食店数が多すぎるのです。
そう考えますとコロナがトリガーを引いた側面はありますが、いずれ店舗数の調整局面が来るだろうという予見はできました。
コロナのせいにするのは簡単ですが、コロナ禍になる前の足元の数値はいかがだったでしょうか。どんな理由でその数値だったでしょうか。ここを客観的に整理しておくことが必要です。
ニュースを見てみれば、大手飲食事業でも、前年対比で大きく落ち込んでいる企業と80%程度に持ちこたえている企業があります。この違いは何でしょうか、お客様がなぜそれほど減らないのか、コロナという言葉を抜きに観察してみましょう。よく見ておくことが次の戦略につながります。
戦略など思いつかないというような方は、次のように考えてみてはいかがでしょうか。
まず、補助金関係は、面倒がらずにきちんと申請してできるだけ、確保する。
次にコロナ前の売上に対して例えば60%の売上でも成り立つ損益構造を作れるかどうかを考えます(厳しい地域でしたら、パーセンテージを下げてください)。その場合には、固定費である人件費と家賃を削減できるか、そして補助金でどこまでカバーできるかを同時に考慮する。
そして、緊急事態宣言状態が終わるまでの運転資金が確保できるか(補助金を今後の運転資金の補填に充てるようになるようでしたら要注意です)。
以上の三点で考えてみましょう。このアプローチは、飲食業でなくても活用可能です。
このような作業をしていく際に先日ブログでも申し上げたように、資金繰りが作成できるととても心強いものになります。経営者の感覚でなくて、客観的数値で捉えてください。
それでも採算が合わないようでしたら、事業をたたむ選択も前向きに考えましょう。もしかしたら、コロナのせいで事業をたたむのではなく、コロナのおかげで早く次の人生を歩めることになるのかもしれません。