フランチャイズ事業で経営を始める

最近は、中小企業のM&Aが盛んに喧伝されるようになりました。

M&A仲介会社も細かくサポートするようになってきましたし、このような本も出ています。

これまでサラリーマン時代に培ったノウハウを活用して、同種の企業を取得し、事業を開始するのは、当方もお勧めするところです。

ところが、M&A仲介会社から聞いたのですが、おおよそ交渉も終わりに近づき、懸念材料がほぼないにもかかわらず、買い手が下りてしまうケースが散見されるということです。実際に会社を所有して経営していくということに直面すると不安が勝ってしまい、自信がなくなるようです。

会社を所有すればサラリーマン時代にやっていた業務だけではなく、これまでやってこなかった業務も含めて、経営全般を見なければいけません。特に独立して初めて経験する業務として、経理、税務、銀行対応などがありますが、不案内なことも最初からしっかりやらなければいけません。このようにやるべきことが多いことがプレッシャーに繋がります(私も以前は、同様の経験をしました。いろいろなことを従業員から、質問されるのですがすぐ答えられないことも多かったです。また、誰に何を聞いていいかもわからない状態になることもあり、そのまましばらく問題を抱えていたことも多くありました)。

そこで、サラリーマンは、嫌だけど、独立は、ちょっとまだ重い、かといって、副業などでコツコツやるのが向いていない方には、フランチャイズビジネスを始めてみることをお勧めしています。半分独立みたいなものですね。

フランチャイズビジネスとは、「本部」と呼ばれるフランチャイザーと「加盟店」が契約を結び、加盟金(ロイヤリティ)を支払うことで、本部の商品やサービスを販売する権利をもらい、また本部にサポートしてもらいながら、事業を運営していく仕組です。

フランチャイズの仕組は、飲食業や小売業、またサービス業などに多く見られます。業種や形態は様々ですが、自分だけで経営するのと大きく違うのは、本部のサポートを受けられるところです。

様々な業種や形態があるので、よく調べる必要はありますが、本部は、大きく次のようなことをサポートしてくれます。

-開業資金の融資、資金面のサポート、銀行応対サポート

-開業までの細かなサポート

-接客や販売の指導

-経営の指導

-研修の実施

-定期的な業務内容のレベルチェック

-本部がマーケティングや広告宣伝をしてくれる

-店舗のあるような事業であれば適切な立地選び

加盟店になると本部にロイヤルティを支払わなければならないのですが、それでも本部からは、結構な内容のサポートが受けられると思います。経営することは、わくわくすると同時に不安も同居しますから、精神的/物理的な負担を少し減らして、船出するという方法もありではないでしょうか。

もちろん、加盟店になっても、本部の会社とは別ですから、一国一城の主になることに変わりはありません。先程、申し上げた経理/財務などをそれなりに理解しなければならないことに変わりはありません。ただ、繰り返しますが、一人で何でもやることを思えば、この半分独立した(少しリスクを下げた)状態で、経営及び事業の経験を積むことができます。

ある程度、自信がついた段階で、(半分じゃない)独立を選択することができます。また、このままフランチャイズビジネスを継続する、あるいはフランチャイズの種類を増やしていく展開もできます(したがって、フランチャイズ契約で、いつ契約が終了するのか、契約終了後もその事業は続けられるのか、などをきちんと事前に確認しておくことがとても大事です)。

なかなか先行きが見えないコロナ禍で、独立を希望していても、思い切った戦略が打てないなら、この半独立というステップを踏むという方法は、リスクを軽減しつつも少し前進という点で有効と思います。