オーナー経営者の報酬は、どのように決めるべきなのでしょうか。
それは、オーナーと経営者の立場を分け、三つの視点で経営者報酬を決定すればよいのです。
まずは、オーナー経営者とは、どういう立場かを簡単に説明します。
オーナー経営者とは、株式のほとんどを持っていて、その株主が経営の実権を取るような場合です。
建付け上は、オーナー(株主)というのは、実際の経営が得意でない、あるいは面倒なので、どこからか経営のうまい人を連れてきて、その人に会社の経営をお願いします。
オーナー経営者とは、それを他人に委託しないで自分でやろうということです。
このうち、日々の会社のよしなしごとにタッチしているのは、オーナーでなく、経営者の立場です。
次にオーナー経営者が会社から得る報酬の順序を損益計算書をベースに考えてみます。
経営者の立場は、役員報酬という名目で会社から金員を受領します。損益計算書上では、従業員がもらう給与と同じ順序で受領しています。
そこから各費用が引かれ、営業利益になります。営業利益の下に利息費用があります。銀行は、この位置で利益の恩恵にあずかれるということです。
その次に税金です。順序で言えば、日本国家は、控えめな位置にいますね。
さらにその下に納税後に残余資金があればそれを株主配当として、オーナーが受領できる権利があります。オーナーのご褒美というのは、最後の最後ですね。
このようにオーナーには、あらかじめ決められた報酬はなく、会社の最後に利益の恩恵にあずかれるだけです。とても儲けている会社であれば、株主配当金がすごいことになりますが、たいていの中小企業は、そんなに残っていないのではないかと思います。
以上のようにオーナーと経営者は、その金員の受領方法が違いますが、実際にこんなことを考えて金額を計算しているオーナー経営者はあまりいなく、全ての権限をもっているので、欲しい金額だけ、経営者報酬を受領することができます。
それでは、オーナーの権利を切り離して、経営者の報酬をどのような考え方に基づいて決めればよいのでしょうか。それは、次の三つの視点で構成すればよいのです。
・会社の目的、目標があって、それに近づく経営ができたか
・業績に連動するような形で報酬が決められているか
・組織の長として機能したか
他にも手法はあると思いますが、経営者報酬を上記の視点で算定すれば、ステークホルダーからも公平感、納得感が得られるのではないでしょうか。この三つを抑えておけば、途中で何度も金額を変更する必要もなくなります。
ちょっと意地悪な言いようですが、「もし自分が(オーナーではない)雇われ経営者で、転職活動するとしたら、この報酬額で雇ってもらえるところはあるだろうか。」と考えてみるのはいかがでしょうか。
今の報酬額で雇ってくれなそうであれば、減額してもよいかもしれません。
余計なお世話と言われそうですが。。。